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 この力強い生命力を感じさせる「灰陶鬲」ふたつ、よく似た作行きであり、見れば視るほど類似点がある。いや、あり過ぎる。ひょっとするとこの二点は同時に誕生したのではなかろうか。
数年前、私はこの内のひとつに魅了され眺めているうちに、ふと、作り方のヒントを得、以来そのことに拘り続け制作した経験がある。
これを作るには、工程を二段階に分け、その間少しの時間を置く、そして最初の段階で作った筒状の形が、最終的に出来上がる三足の形を決定してしまう。このように、空洞の三足造形である「鬲」をこれだけ似せるには、まず筒状の形を同じにする必要があり、ふたつ平行した作業でなければ極めて難しい。
そのうえ、私を決定的にその様に感じさせたことは、足と足の間の、何の作為も感じさせない「へ込み」具合である。それも、少し傾いているところなどは、単に個人の癖という以上に、その瞬間における作者の心の具合までも、同じ様に現れている。
まったくの私見だが、もしそうであったとしたら、なんと素晴らしいロマンではなかろうか。

三千年もの昔、ある日、ある所で、ある卓越した巧人により、作り上げられたふたつが、はるか悠久の時を経て、遠く場所を移し、ここ、名も相応しき蒼穹堂に、みごと再会したのである。果てしなく夢のような空想が沸いてくる。

 見た限りにおいて、このタイプの灰陶鬲の中で最も魅力を感ずるふたつであり、そして、この魅力のとりこになってこれを運よく掌中にすることが出来た二人は義兄弟とでも言うわけか。

「紀元前 中国陶器」展 1991年 浦上蒼穹堂)に寄稿