
| 1 青磁の世界への、きっかけ 染め付けの袖薬の溜まったところが青かった。 *18歳でこの仕事に入りましたが、 「土もみ」はすでに、「こずかい」ほしさに覚えていました *「ろくろ」を教えこまれました。 そして「絵付け」はさせてくれませんでした。 *でも、自分のものを作りたいなあ、と思っていたとき。 ふと、焼き上がった「染め付け」の高台部分の袖薬が溜まったところを見ると、青いのに気が付きました。 *意識的に厚く掛けたら「青磁」になる(これがきっかけ) そんな「色見」を祖父が見て、「砧の袴腰の香炉」を与えられ、これを習う様に云われた 父には勝手なことして、何かを作ったら怒られましたが。祖父がいってくれたおかげで『袴腰の香炉』の研究することだけは、許されました。 父にしては祖父のいうことだし、仕方がなかったんだと思います。 今回の展覧会に出品されている「高麗の輪花の鉢」(32)は私にとって凄くご縁のあるものです。 20歳位のとき、根津美術館に伺って、この「鉢」を拝見して、『輪花』という「技法」を教わったのです。 この「技法」を取り入れて『輪花の鉢』を作り、 その後、わたしの作陶テーマのひとつとなっていった『輪花の変化』のスタートとなった原点の一つです。 2 プロセス(袖薬) *私の場合、学校にいったわけでもなく、まったく独学です。 先生は「古典」でした。 *わが家の窯はそんなに大きくなかったので、月に2、3回炊きました。 そこに「色見」を入れることが、第一歩でした。 *やきものは、焼いてみないと結果は出ません。 繰り返し繰り返し、一歩一歩、目的のものに近づける作業でした。 *その「色見」をポケットに入れて、博物館へ入って、比べる。 (同じ条件の光線で見ないと駄目) * 台北の故宮博物院によく行きましたが、宋時代の室で、親しくなったの警備のおじさんに見つかり、「なにしてんだ 」『こうゆうのを作ってんだ』「もうかるか」なんて云われたこともあった。 3 魅力 官窯青磁を勉強するために台北に行きました。 そのとき、数点の汝官窯を見せていただき、それまでは、青磁とは、やきものの「楷書」でかたく、きちんとしたものと、考えていましたが、 ところが、それに加えて、 冷たいものでありながら、暖かみがありそうで へこむはずはないのに、柔らかく思え、 さわってみたい衝動をうけるやきものだったんです。 「ひとこと」で云うと、 字の如く『水も したたるいい女』と解釈しています。 台北の故宮の元院長の蒋さんに話したら、中国も同じですと意味が通じました。 繊細、優美で、巧みなる技を具備し、気品に満ちあふれた、格調高き姿 私の作品を、心の中にある徽宋皇帝の前にもって行けるか! いかに、品格を崩さずして、己の造形を作るか! うまくいえませんが、中国のやきものひとつだけやるから、選べといわれたら たぶん「汝官窯」と言うと思います。 そのなかで、といわれたら、破片でも、嬉しいです! 4 造形 自分自身の内面にある、自分自身でも気が付いていない造形を、「古典」や「移りゆく自然」が引き出してくれる。 浮かんできた造形が、品格あるものか、下品なものか、判別するために *自身の内に、畏敬の念を抱いた「古典」「自然」に、自身の作品を見せられるかどうか? ↓ * 思いつきの「造形」が、如何に下品なものかを知ることが出来る! |
(“鼎談・青磁の魅力を探る”原稿より抜粋 2000.9.9.根津美術館) |