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雨過天青
雨過天青

 長谷部楽爾先生を中心とする常盤山文庫中国陶磁研究会の一員として、今回、常盤山文庫所蔵の米色青磁瓶や洗などを、ゆっくりと観察させていただく機会を得、また先生方の貴重なご意見をうかがうこともできた。私自身、中国官窯青磁に憧れてこの世界に入り、一時期、米色青磁の魅力に取り憑かれたこともあった作家としては、まさに至福の時であった。
 その米色青磁の米色が、意識して作られたものか、それとも偶然の産物であったのか。その議論は研究者にゆだねることとして、私自身、作り手としての興味が涌き出し、同じ胎土、釉薬のものが、焼成雰囲気で、どのように違うかを比較してみようと思った。
テストピースを作るために用意した材料は、今までに、たまたま私自身が使用していた中の胎土4種類と釉薬5種類で、それらを組合せ、まったく同じものを酸化と還元で焼成し、以下の三つをテーマとして比較してみた。

1.20種類の胎土と釉薬の組み合わせが、それぞれ酸化焼成と還元焼成でどのように違ってくるか〔酸化と還元の比較〕。

2.焼成が同じで、同じ胎土の場合、釉薬によってどのような違いが出るか〔図13を縦列で比較〕

3.また同じ焼成、同じ釉薬の場合、胎土によってどのように異なるか〔図13を横列で比較〕

その結果が図13に掲載したテストピースの一覧である。ただし、これはあくまでも私の日頃使っている材料をもとにしたテストなので、絶対的なものではなく、相対的な比較としてお考えいただきたい。

  最後にひとこと、作家として、釉薬を研究することは大変重要である。私自身も、ポケットにテストピースを入れ、博物館によく通ったものだ。ところが、あまりに魅力的な釉薬に憧れるあまり、知らぬうちに釉薬研究という魔物にはまってしまうという怖さもある。形を作るという、本来一番大事な、作家としての心構えを忘れてしまうのだ。研究者にとっても、歴史的作品を釉薬・胎土から研究するのは、より具体的で、わかりやすい方法であろう。しかし作家から見ると、釉薬・胎土の再現も大変むずかしいが、形を習うことのほうが、それにも増して困難なことである。このことを研究者の方々にもご理解いただきたいと思う。 

2007年 12月、常盤山文庫中国陶磁研究会 会報1 「米色青磁」に寄稿