
ご紹介頂き、有難うございます。 今回、ここで、お話をするようにと、お電話を頂いた時、 そうなのです。私のような、作品を以て、自己表現をしている立場のものが、しゃべったら、「言い訳」「弁解」にしかならないと思うのです。 ですから、今日は思いっきり言い訳を語り、自己反省をするということで、わが身を振り返りたく存じます。
実は、東洋陶磁学会様には、私の祖父の代より、入会させて頂いておりました。それは、古陶磁、特に、中国古陶磁が好きだったことによるものでした。 ちなみに、東洋陶磁学会の「東洋陶磁」創刊号のトップページには、カラー図版で、唐三彩の鍑が掲載されて唐三彩の鍑 いることからも、判るように、古陶磁の学会であると思っていました。また、私も関心の深い、南宋官窯の論文が掲載されておりました。 ところが、数年前より、現代陶芸の世界にも、研究分野が広げられたことに、驚きを感じましたし、嬉しくも思いました。 さて、今日は、 小学校時代から、小遣いがほしいために、お手伝いをしました。土砕き、スイヒ、土合わせなどです。ですから、土揉み程度は、その時点で出来ていましたから。いきなり、轆轤の生地つくりをさせられました。その当時、我が家では割烹食器を30個ないし50個を作っておりましたので、汲みだし、蓋向付、芙蓉手の皿、猪口、とほとんどが薄手の染付けや、赤絵でした。 これが、青磁の世界に入るきっかけでした。 まがいなりの土、釉薬が出来、鉢を作って、窯に入れさせてもらった中で、たまたま、開入の入ってしまったものがあり、意識的に色付けをしてみました。というより、東京国立博物館にある横川コレクション横川さんの鉢の南宋官窯の鉢の姿、釉薬に魅力を感じ初めてころだったのです。 しかしながら、若き作家を目指す眼としては、南宋官窯の方が、位が上であるように思え、憧れておりました。安宅さんの八角、梅澤さんの砧形、根津さん大内筒、海外では、デビットさんの花入れ、大英の下蕪、フリアーの砧形などを、習うことに挑戦しておりました。 そんな折、台北の故宮博物院へ南宋官窯の勉強に行く機会に恵まれ、何日も通い続けました。その当時、図録というものが未だなく、必死になって、見たような気がします。(皆様も、絶対に展覧会図録は買わない方が言いと思います。いや、売り切れたと思うと、真剣に見るのではないでしょうか) しかし、南宋官窯を勉強に来たのだが、隣の部屋にある、南宋官窯にはない、 それが“汝官窯”です。水仙盆 洗、洗、輪花承盤、楕円洗、瓶 一昨年、その特別展がありました。皆さまも、ご覧になられたとれ思います。 その後、何度も、故宮博物院には足を運び、「触ったら、温かそうで、押したら、へこみそうな柔らかさ」を体験させてもらい、自作にも、そんな雰囲気が出せたらいいなあと、憧れておりました。 収蔵庫内にも入れていただく機会にも恵まれました。拝見、 この写真をよくご覧になってください、20代の私です。
最近思うのですが、 汝官窯を「慈悲深い女性というか観音様」
当時の院長、将院長さん 将院長 と、汝官窯の魅力は、字のごとく、汝は、「さんずい」に女ですね、将に「水も滴るいい女性」とお互いに相槌を打ったことがありました。 また、あちらで、お世話になった、東洋陶磁学会の会員でもあられた博物院の顧問の方には、 まあ、お嫁さんは日本人になってしまいましたが、あの魅力を再現するにはどうしたらいいのか!と思い続けておりました。 それは、まず、時代が違う!!これは、タイムマシンでもなければ、無理です。それでは、「あの憧れるものが出来たときには、陶工は何を見て作っていたのだろう?」 その最初に気が付くのが、このカラーの花です。カラーの花 ここまでくるのに15年かかりました。 このあたりから、あの憧れの汝官窯の魅力のひとつである、温かく、柔らかな雰囲気を表現するのに、釉薬も大切だが、形を持って試みようと思いはじめておりました。 温かさを求めるに、自然界の有機物から、造形のヒントをもらい。 カラーのハート型の次に、 こうなると、非対称のバリエーションで、かなりの形が表現できました。10景の皿(ハートから、4カット)
これは、エイです。エイの泳ぐ姿 その後、縁有って、アマゾン熱帯魚、現地視察ツアーに参加させてもらいました。熱帯魚屋さんの親爺さんと、息子のツアーで、マナウスまで、飛行機で23時間乗って行きました、アマゾン川では毎日クルージングでした。釣った魚は、「日本だったらどのくらいで売れるか?」なって皆さんお話をしておられましたが、私には、まったく、判らず、蚊帳の外で、冷たい飲み物をいただくだけでした。(朝と夕方は蚊帳の中に入りましたが)おまけにアマゾン川は濁っていて、大自然の中で生息しているエイの姿は、見ることは出来ませんでした。ただ、水が引いた砂地には大きな円形のくぼみがいくつもあり、これはエイが休息した跡であると教えられました。このご縁の延長で、我が家ではこの淡水エイを飼っております。名前は「まりちゃん」です。 これもアマゾンでの体験からですが、鶴汀1迷路のような湿地帯を小さなボートで、走り回りましたが、いたるところに、何をしているのか、じっと、動かない大きな水鳥が沢山生息しておりました。鶴汀2休んでいるのか、魚を狙っているのか判りませんでしたが、そんな風景を心象しました作品です。鶴汀3 これは有機物ではありませんが、自然現象のオーロラです。オーロラの画像、オーロラのアップ 人鳥1これは、ペンギンからです。 先程、申し上げましたが、粘土の持つ特徴のひとつである「可塑性」それを、表現しようと、輪花から始まり、ここまで来ましたが、全て、器形の上部というか、口辺を曲げたり、巻き込んだり、したものです。 水指1これは器形の中心部の胴を叩いて曲げ、作った造形です。水指2、水指3轆轤で挽いて、一旦削ります。そのあと、土に水分を加えることによって、粘土の可塑性は蘇ります。削り込んだ面取りとは違い、暖かな柔らかい表現となります。5角徳利これは徳利ですが、土の厚みが一定で、見かけより沢山入ります。5角徳利上から酒飲み用徳利です。 捫扣の壷これは、器形の、一番下を同じような技法で、叩いて、造形したものです。捫扣の壷 3足香炉これも同じ技法ですが、轆轤を挽いて、すぐに、巻き込んで造形します。 この技法は3000年前の中国、西周時代にありました。灰陶の鬲灰陶の鬲を眺めている内に、技法の痕跡が見つかり、灰陶の鬲裏、底、底アップ、技法を再現しました。 3000年ぶりに私が復活しと、自負しております。 ただ、ここまで、40年近く、縁だ、胴だ、足だと、グニャグニャ曲げて、粘土の持つ可塑性を追い求めて参りました。 その後、「そんなこと、何もしないで、可塑性を表現できないかと、悩みました。大鉢、鎬鉢 そして、この曲線表現をも捨て、直線だけで、経筒粘土の可塑性を表現しようとも試みました。その個展作品です。筒3カット 外焔筒2カット ここまで、やってみましたら、また、戻ってしまいました。 一旦轆轤成形をして削る作業後、水分を与え、曲げたり、叩くのではなく、今度は、カットを加え妖青ダイナミック。可塑性を利用して、開いたのです。妖青5カット そして、今取り組んでいるのが、この蓮です。蓮の花と葉 まったく、規則性のないランダムな輪花です。 これが、大変難しいのです。 蓮の葉っぱを観察して、ある程度の約束はあるようですが、同じものはありません。ですから、どのような形にしてもOK、「なんでもあり」の世界と思って取り組みましたが、なかなか、姿のいい「うねり」は表現できません。まして、見る角度によって輪葉の鉢4カットまったく、表情を変えます。輪花でなく「輪葉」なんて、名前は付けましたが、なかなか、いい形と思えるものが取れません。規則性のあるものの方が、たやすいように感じております。 そして、始めに、輪花の究極サイクルが1だと、申し上げましたが、
このように、粋がって、ひとりよがりになって、作ったり。 ただ、先日、面識のない方より、メールを頂きました。 触れたら、温かそう それより、ステップが一段上ったような言葉に感じ、 これからも、このようなことを、繰り返しながら、その時々の想いを感じ、それを表現していきたく思っております。 何か、いい足らないことが沢山有ったような気がします。 ないようなので、来週からのNYでの個展のお知らせです。 |
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(東洋陶磁学会講演 於、東京国立近代美術館 2009年3月8日 原稿) |