生きた土 死んだ土
酒会壺を囲んで
汝官窯への想い
三千年目の再会
中国北方の旅
韓国 慶北 間慶窯にて作陶
そこに座れ
上林湖、景徳鎮の旅
中国江南の旅
宜興 丁蜀鎮
デビットコレクション
青磁の魅力を探る
和様と唐様
初代川瀬竹春
高麗青磁素文蓮花形碗
淡交会講演原稿抜粋
安宅コレクション
テストピースの制作
亡き弟からのメッセージ
魅せられた青磁と自作
奥深き中国陶磁の魅力
もし、出会っていなかったら
外焔
これからの茶道具
雨過天青
雨過天青

私は来年50歳代を卒業する。自身の宿命と覚悟で、18歳の時、祖父、父の許で、家業である「やきものや」の修行に入った。ジーンズはその宿命に悩んだ思い出と重なる。
以来40年、家の内においては、祖父、父への、反発と、自己の主張であった。ただ、一歩外に出てのお付き合いには、自我を強く表現することを控えた。それは、ほとんど全て目上の方々であったこと、そして、何よりも、そう意識するようになったのは、「北宋の汝官窯青磁」に出会ったことに起因する。
そもそも、20代前半に「南宋官窯青磁」の貴公子を思わせるような「かっこいい青磁」を探るために、台北の国立故宮博物院に繰り返し研究に通った。そのとき、となりの一室に、そっと静かに慎み深く、観るものを温かく迎えてくれる、慈悲深い高貴な女性を思わせるような「汝官窯青磁」に魅せられた。そして、その魅力に憧れ続けている。
その青磁は中国陶磁にある、強く存在感を表現するというより、観るものが意識を持たないと、見逃してしまいそうな美しさなのだ。
以来、私自身の心の中にあるそのような方に、ご覧いただけるような作品を作りたいと、思い続けている。でも、実現はしていない。
たぶん、ご覧に入れても、何もおっしゃらず、ただ、「にっこり、微笑んでくださる」だけであろう。
つまり、私自身が、その方の前へ、「この作品をお見せできるか、否か」を問うことによって、自身では迷う判断を、心の中にある方に委ねるのである。
このことにより、『中途半端な自我を強く主張した作品』は、恥ずかしく、見せられなくなり自重するようになる。
もし、そんな慈悲深い高貴な女性に出会っていなかったら、、、
「かっこいい貴公子」のまねごとに明け暮れていたであろう。

ジーンズフィフディ 応援宣言(2009年 読売新聞)に寄稿

http://otona.yomiuri.co.jp/jeans50/sengen/090706.htm


個展「外焔」(2009年壺中居7回展)に寄せて